ポストエディットとは!人力翻訳との違いや注意点についても紹介

ポストエディットとは?のアイキャッチ画像

近年、翻訳業界において「ポストエディット」という言葉が注目を集めていますが、

ポストエディットって何?

って疑問にもたれている方も多いのではないでしょうか?

この記事では、ポストエディットとはどういったものなのか、ポストエディットの必要性からメリットまで、詳しく紹介していきます。

ぜひ、最後までご覧ください。

目次

ポストエディットとは?

ポストエディットとは、機械翻訳(MT: Machine Translation)によって生成された翻訳文を人間が修正・編集する手法のことを指します。

ポストエディットは、機械翻訳技術の進化に伴い、急速に普及している手法です。従来の翻訳作業では、翻訳者がゼロからすべてのテキストを翻訳する「人力翻訳(HT: Human Translation)」が主流でした。しかし、機械翻訳の精度が向上し、大量のテキストを迅速に処理できるようになったことで、機械翻訳の結果を活用するポストエディットが注目されるようになりました。

機械が訳したものには表現が不自然であったり、日本語の意味を誤って判断してしまう箇所が多々あります。そのため、品質を求める場合には、そのまま利用するのではなく、翻訳者が確認し、必要に応じて誤訳の修正や補足し、正確で自然な表現に仕上げる必要があるのです。

そもそも、機械翻訳が急成長した頃、翻訳作業を効率的に使用するために生まれたものになります。

ポストエディットの具体的な手順は、以下の通りです。

  • 機械が翻訳する
  • 翻訳者が原文を読み内容を理解する
  • 翻訳者が原文と訳文を比較しながら、誤訳、文法、表現等を確認する
  • 翻訳者が誤っている箇所を修正する

人力翻訳との違い

人力翻訳との大きな違いは、その「プロセス」です。

人力翻訳とは文字の通り、翻訳者が原文を直接翻訳し、全体を人間の手で仕上げます。

翻訳者の専門知識や感性を活かし、高品質で正確な翻訳を提供することを目的とし、高品質な翻訳が求められるプロジェクトや、ニュアンスや文化的背景を重視する場合に適しています。クリエイティブなコンテンツや、専門的な技術文書などが該当します。

一方、ポストエディットは文書すべてを機械が訳します。その後、翻訳者(ポストエディター)が機械翻訳の結果を見直し、必要に応じて修正・編集します。

機械翻訳の成果物をベースにして、短期間でコストを抑えつつ翻訳の質を向上させることを目的としています。大量のテキストや、迅速な納品が求められるプロジェクトに適しています。正確さよりもスピードやコスト削減が重視される場合に有効です。

機械翻訳の出力を人間が修正・編集して自然な翻訳文に仕上げる3つのステップを示している画像

ポストエディットの種類

ポストエディットとは、大きく分けて2種類存在します。

  • ライトポストエディット
  • フルポストエディット

では、それぞれ詳しく紹介していきます。

▶ライトポストエディット

ライトポストエディットとは、明らかな誤訳を修正し、大きな間違いの無い訳文にすることです。

〇 誤訳の修正

明らかな誤訳を修正し、意味が通じるようにする。

〇 文法の修正

基本的な文法の誤りを修正し、文章が理解しやすくなるようにする。

〇 簡単なスタイル調整

最低限のスタイル調整を行い、テキストが自然に読めるようにする。

スピードとコスト効率が重視されるプロジェクトに適しており、社内文書や一時的なコンテンツに使用されることが多いです。低コストや早急な納期を求める場合は、こちらが向いているでしょう。

▶フルポストエディット

フルポストエディットとは、翻訳文の品質が非常に重要な場合に適用される手法です。機械翻訳文を人間翻訳と同等の品質に仕上げることです。入念な確認作業と修正で、より自然に文章を訳すということを指します。

〇 徹底的な誤訳修正

すべての誤訳を修正し、原文の意味が正確に伝わるようにする。

〇 文法およびスタイルの徹底的な修正

完全な文法修正とスタイル調整を行い、テキストが非常に自然で流暢なものとなるようにする。

〇 用語・表現の統一

用語や表現の統一、更にスタイルの一貫性を保ち、全体的な品質を高める。

出版物や公式文書、マーケティング資料など、精度と品質が求められるプロジェクトに適しています。時間的な余裕やコストが高くなっても、訳の質を求める場合は、こちらが向いているでしょう。

ポストエディットの必要性

ポストエディットの必要性は、以下の2つです。

  • 正確性
  • 自然な表現
  • 用語・表現の統一

では、それぞれ詳しく紹介していきます。

▶正確性

まずは、その正確性です。

機械翻訳は高速で大量のテキストを処理する能力を持っていますが、その翻訳結果には誤訳が含まれることがあります。正確性を確保するためには、ポストエディットが不可欠です。

機械だからと言ってすべてが正しいわけではなく、単語や固有名詞自体を訳し間違えたり、文章ごと抜かしてしまうこともあります。

肯定文を否定文としたり、反対の意味に訳することもあるので、人が確認しないと異なった文章のままなので、これは機械が訳するデメリットと言えるでしょう。

さらに、日々その精度は向上しているものの、機械による訳は間違いが出るのが現状です。

特にビジネスシーンなど、信頼が求められる場面で正確性は重要となるので、尚更必要となるでしょう。

▶自然な表現

次に、その自然な表現です。

機械翻訳は文法的には正しい文を生成することができますが、その表現が不自然になることがあります。読者にとって読みやすく自然な文章にするためには、ポストエディットが必要です。

文章を訳す場合、流暢さが求められますが、機械が訳する場合は作者の意図や文脈を理解できないため、どうしても流暢さが欠けてしまいます。

その点、人間が訳す場合は、文化的背景や参考資料も考慮するので、自然な訳文になります。

その他にも、機械の訳は、主語が欠落している文章やクリエイティブな文章、慣用的な表現も苦手なため、自然な訳は不可能なのです。

正しいだけではなく、誰が見ても読みやすい文章にするためにも、ネイティブならではのニュアンスを理解できる人間の手で編集するということが必要になります。

▶用語・表現の統一

更に、用語・表現の統一です。

機械翻訳は文ごとに翻訳を行うことが多いため、用語や表現の一貫性が欠けることがあります。特に専門的な文書や長いドキュメントでは、一貫した用語と表現が重要です。

機械翻訳は全体の意味を理解して翻訳していくのではなく、一文毎に翻訳していくため、どうしても用語や表現の統一は苦手になります。

また、継続的に翻訳する必要のある案件では、過去に翻訳したものに、用語や表現を合わす必要がありますが、これも苦手の内の一つになってしまいます。

高品質な翻訳文を求める場合は、翻訳者による入念な確認が必要となります。

ポストエディットのメリット

ポストエディットのメリットは、以下の3つです。

  • 時間の短縮
  • 翻訳の品質が良くなる
  • コスト削減

では、それぞれ詳しく紹介していきます。

▶時間の短縮

時間の短縮になる、というメリットがあります。

人間による訳もポストエディットも、結局人間が原文を読み理解するという点は共通するのです。

ただ、人間が訳する場合、原稿を読み理解し一から訳し確認するため、その分時間がかかります。

ポストエディットの場合は、機械の訳から始まり、文章自体は人間が確認するので、時間も短縮できて納期を大幅に早めることも可能なのです。

▶翻訳の品質が良くなる

翻訳の品質が良くなる、というメリットがあります。

機械が訳すること自体、低コストで尚且つスピーディーに訳することができるのです。

ただ、人間が訳したものと比較すると、作者の背景や心情を理解できないので、正確さに欠けたりニュアンスが異なったり、誤訳が起こる場合もあるため完璧とは言えません。

そこで、人間が文章の歴史的背景を理解した上で、元の文章と比較した上で修正することにより、正確さや品質も確保できて、ネイティブに近い訳が可能になります。

▶コスト削減

コスト削減できる、というメリットがあります。

人力翻訳の場合は、最初から最後まで人間が行うのです。

さらに、会社に依頼した場合は、校正作業やダブルチェックの費用なども追加でかかります。

ポストエディットの場合は、機械がすべて訳した上で人間が修正するので、その分人件費などのコストを削減できるのです。

ポストエディットの注意点

ポストエディットの注意点は、以下の3つです。

  • 適さない内容もあることを理解する
  • ポストエディットの種類の使い分けを行う
  • 機械翻訳の質を理解する

では、それぞれ詳しく紹介していきます。

▶適さない内容もあることを理解する

ポストエディットを利用する上で、適さない内容のものを理解しておく必要がります。

ポストエディットは強力なツールですが、すべての種類のコンテンツに適しているわけではありません。以下のような内容では、ポストエディットが適さない場合があります。

〇 クリエイティブな文章

小説、詩、広告コピーなどのクリエイティブな文章は、独特の表現やニュアンスが重要です。機械翻訳はこれらを正確に再現することが難しく、ポストエディットでも十分な品質を確保できないことがあります。

〇 文化的な背景が重要な内容

文化的な背景や文脈が大きな役割を果たす内容では、機械翻訳が適切な訳を提供するのが難しいため、ポストエディットでもそのままでは不十分です。

〇 専門的かつ高度な技術文書

高度に専門的な技術文書や法的文書では、専門用語の誤訳や微妙なニュアンスの違いが重大な問題を引き起こす可能性があります。これらの文書には、最初から人間翻訳が望ましい場合があります。

〇 ブランドメッセージやトーンが重要な内容

企業のブランドメッセージや特定のトーンを維持する必要がある場合、機械翻訳はそのニュアンスを捉えるのが難しいため、ポストエディットでも十分な品質を提供できないことがあります。

▶種類の使い分け

種類の使い分けに注意しなければなりません。

重要な文章や外部向けの文書は、人間が訳するような質の高さが求められるため、この場合はフルポストエディットが確実です。

一方で、社内向けの文書や資料、高頻度で情報が更新され迅速な公開が求められるWedサイトの場合は、ライトポストエディットが確実でしょう。

このように、文章の内容によって種類を使い分ける必要があるのです。

▶機械翻訳の質

最後は、翻訳の質に注意しなければなりません。

機械翻訳の質が悪い場合、修正箇所が多くなり、その分手間がかかります。最悪の場合、納期にも影響が出てしまいます。

機械翻訳を利用する際には、人間が翻訳するよりも手間がかかることもあるため、必ず機械翻訳の質を確認しておくことが大切です。

ポストエディットを依頼すれば質が確保されるとは限らない点にも注意が必要です。

機械翻訳の未修正のテキストと、ポストエディット後の修正されたテキストの違いを示している画像

まとめ

この記事では、ポストエディットの必要性やそのメリットについて、詳しく紹介しました。

NTCネクストでは、プロのネイティブチェッカーが在籍しているため、機械が訳した後の修正もより自然にわかりやすい表現にすることが可能です。

さらに、厳正なセキュリティ体制(国際規格ISO 27001)を整えているため、より安心して依頼できます。

翻訳サービスについてお困りの方は、ぜひNTCネクストにお任せください。

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