特許翻訳は、グローバル市場での知的財産権保護において重要な役割になっています。
この専門的な翻訳分野では、技術的な精通さと法的な洞察力が求めらますので、特許翻訳とは、必要性、そして翻訳者に求められる特殊なスキルセットについて詳しく解説します!
特許翻訳とは?
特許翻訳とは、特許権を外国で取得するために必要な書類を他国の言語に翻訳する作業を指します。
特許に関連する書類は、特許明細書や特許庁から発送される通知書など多岐にわたります。これらの文書は、発明者がその発明に対して権利を主張するための重要なものであり、正確な翻訳が求められます。
▶ 特許翻訳の特徴
特許翻訳には、技術的な用語や表現を適切に訳す能力が必要であり、
たとえば、技術に関する知識、法律の知識が含まれます。
特許関連の文書は法的な要素を多く含むため、翻訳者には各国の特許法に関する知識が必要です。また、発明や技術に関する知識がなければ、特許明細書の内容を正確に翻訳することは難しいでしょう。そのため翻訳者は特定の技術分野に精通している必要があります。
▶ 特許翻訳が必要なケース
特許翻訳を必要とする場合以下3つが挙げられます。
- 国際的に事業展開を目指す企業
- 弁理士・特許事務所
- グローバルな知財訴訟に関わる企業や個人
国際的に事業展開を目指す企業
製品や技術を他国で展開する際、特許権をその国で確保することは非常に重要です。グローバル市場で競争力を持つ企業は、特許の出願時や権利行使の際に、特許明細書やその他の関連文書を現地の言語に翻訳する必要があります。
弁理士・特許事務所
特許出願や特許権の管理を代行する弁理士や特許事務所は、クライアントの特許を保護するために、翻訳サービスを依頼することが多々あります。特に、国際的な特許出願や異議申立て、訴訟対応など、技術的かつ法的な文書の翻訳は専門知識が求められるため、専門的な翻訳者の力が必要です。
グローバルな知財訴訟に関わる企業や個人
特許侵害などの知的財産に関する訴訟に関与する企業や個人も、訴訟国の法廷に提出する書類や証拠の翻訳が必要です。特許明細書や審査履歴の正確な翻訳がないと、訴訟で不利になるリスクがあります。
特許翻訳が求められる書類
特許翻訳が求められる書類は主に3つあります。
- 特許明細書
- 特許庁からの通知書
- 応答書
▶ 特許明細書
発明の詳細な内容を記載した書類で、特許出願の中で最も重要な文書の一つです。特許明細書には、発明の技術的内容や、その発明がどのように機能するのか、どのような技術的課題を解決するのかといった情報が具体的に説明されており、この情報が基になって特許の審査が行われます。
特許の取得が国際的なものである場合、翻訳が必要になることが多く、その正確さが特許の成否を左右します。そのため、特許明細書の翻訳は、技術的な理解と法的な知識を兼ね備えた専門家が行う必要があります。
▶ 特許庁からの通知書
特許庁からの通知書は主に5つあります。
- 拒絶理由通知
- 意見書提出の要求
- 補正指令書
- 審査結果通知
- 登録料納付通知
絶理由通知(Office Action)
特許庁の審査官が、特許出願を審査した結果、特許として認めるには問題があると判断した場合に発行される通知です。主に以下の内容が含まれます。
- 発明が新規性や進歩性を欠いている
- 特許請求の範囲(クレーム)が広すぎる、または曖昧である
- 発明が特許法の規定に合致していない
意見書提出の要求
拒絶理由通知に対して出願人が応答する場合、意見書を提出するよう特許庁から要求されることがあります。この意見書は、審査官の指摘に対して反論したり、特許請求の範囲を修正するための重要な文書です。
補正指令書
特許庁から、出願内容やクレームの補正を指示される文書です。審査官が特定のクレームや記載事項に問題があると判断した場合、これを修正する指示が出されます。補正指令書は、特許取得に向けた必要な手続きを理解する上で重要な書類です。
審査結果通知
特許庁が特許出願に対する最終的な判断を伝える文書です。審査が完了し、特許が認められる場合や、拒絶が確定する場合に発行されます。
登録料納付通知
特許庁が特許を認めた場合、特許権を確定させるために必要な登録料の納付を求める通知が発行されます。この通知は、特許が正式に登録される前に、手続きを完了するための最後のステップです。
▶ 応答書
応答書の主な役割は、特許庁からの拒絶理由通知や補正指令に対して反論したり、出願の修正を行ったりすることです。審査官からの指摘や問題点に対して、出願人側の意見を述べる場であり、適切に対応することで特許を取得する可能性が高まります。
応答書の内容は、特許庁からの指摘や要求に応じて異なりますが、以下のような要素が一般的です。
拒絶理由に対する反論
特許庁が拒絶理由を提示した場合、出願人はその理由に反論し、なぜ発明が特許として認められるべきかを説明します。例えば、発明が新規性や進歩性を有していることを技術的な視点が必要です。
クレームや明細書の修正
特許庁からの指示に従い、クレーム(特許請求の範囲)や明細書の内容を修正する場合もあります。修正は、審査官の指摘をクリアしつつ、発明の権利範囲を最大限に保護するために行われます。
技術的な説明や証拠の提示
発明の技術的な詳細を補足説明する場合や、特許庁が提示した他の技術文献に対して独自性を主張するために、技術的な証拠や説明が含まれる場合もあります。
特許翻訳をする際に求められる能力
特許翻訳をする際に求められる能力は4つあります。
▶ 正確性と一貫性
特許翻訳では、発明の技術的内容や法的な表現を正確に訳すことが求められます。特に、技術的な用語やクレームの範囲など、ミスが許されない部分が多いため、用語の統一性や文章の整合性を保ちながら翻訳を行う必要があります。
▶ 専門用語の正確な使用
発明の技術分野に関する専門的な用語やフレーズを正確に翻訳し、技術的内容を正しく伝えることが必要です。技術分野において誤った用語を使用すると、発明が誤解される恐れがあります。
▶ リサーチ力
特許翻訳者にとって、リサーチ力は欠かせないスキルの一つです。特許文書は技術的かつ法的な内容が複雑であるため、翻訳する際には正確な知識を持つことが求められますが、翻訳者が全ての技術分野や専門用語を事前に知っているわけではありません。
特に、新たに開発された発明や技術分野では、その用語や概念が翻訳者にとっても未知なケースもあります。リサーチをすることで、技術的な用語や概念を正確に翻訳することが可能です。
▶ 技術分野の専門知識
特許翻訳では、化学、医療、機械工学、ソフトウェア、バイオテクノロジーなど、さまざまな技術分野が扱われます。特定の技術分野に精通していることで、正確な翻訳を行うことが可能です。
特許翻訳するための手段
特許翻訳をするための手段はAIツールを使用する方法と翻訳会社に依頼する方法の2種類があります。
手段 | メリット | デメリット |
---|---|---|
AIツール | 低コスト スピードが早い | 誤訳が発生しやすい 人間のチェックが必要 |
翻訳会社 | 正確 専門性が高い | 高コスト 納期が長い |
▶ AIツール
AIツールのメリットは、コストを抑えられる点と迅速な翻訳が可能な点です。特に大量の翻訳が短時間で処理できるため、スピードを重視する場合に有利です。また、AIは継続的に学習し、過去の翻訳結果をもとに精度を向上させることができます。しかし、特許翻訳は専門的な技術用語や法的表現を含むため、誤訳が発生しやすく、そのままでは法的リスクが伴います。最終的には人間の校正が必要になるため、完全な自動化は難しいのが現状です。
▶ 翻訳会社に頼む
特許翻訳を翻訳会社に依頼する最大の理由は、正確性と信頼性が求められるためです。特許文書は専門的な技術用語や法的表現が多く含まれており、誤訳や曖昧な表現が発生すると、特許の権利範囲や保護範囲に重大な影響を与える可能性があります。特に、誤訳によって法的リスクが生じると、特許取得が拒否されたり、他社との法的紛争に発展することも考えられます。そのため、特許翻訳には専門知識を持ったプロの翻訳者が不可欠です。
まとめ
特許翻訳が求められるケースや書類について解説してきましたがここまでいかがでしたでしょうか。
特許翻訳は、技術や法律の知識が必要で、ミスが許されない重要な作業です。特に、国際的なビジネス展開を考えている企業や特許事務所にとっては不可欠です。
NTCネクストは、専門的な技術知識と出願目的に沿った記述力を持つ翻訳者が在籍しており、正確な特許翻訳を提供しています。
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